・・・慈しみと寛容・・・
19世紀末のイギリス、ドーセット地方のマーロット村、貧しい村娘のテスは、名門ダーバヴィル家の末裔であることを知らされます。テスの両親は、落ちぶれた家柄の復興を娘に託し、親戚だというダーバヴィル家へ奉公に出させます。しかし、そこで当主の息子であるアレックに誘惑され、純潔を失ってしまいます。
一度は村に戻るものの、過去の出来事に苦しむテスは、別の土地で酪農の仕事に就きます。そこで牧師の息子であるエンジェル・クレアと出会い、恋に落ちます。しかし結婚後、テスは過去の出来事をエンジェルに告白してしまいます。
エンジェルはテスの過去を受け入れることができず、ブラジルへ渡ってしまいます。テスは一人、苦難に耐えながら生きていきますが、再びアレックが現れ、彼女を誘惑します。生活苦から逃れるために、テスはアレックの元に戻ってしまいます。
しかし、エンジェルが帰国し、テスを連れ戻そうとします。テスはエンジェルへの愛と、過去の清算のために、アレックを殺害してしまいます。そして、エンジェルとともに逃亡するも、最後は逮捕されて処刑されます。 この物語は、華やかなヴィクトリア朝時代の、それとは裏腹な女性の置かれた状況や、社会の矛盾が、純粋な彼女テスを翻弄する姿が、運命として、悲劇的に描かれています。