Jun's Blog

・・・慈しみと寛容・・・


・パール・バック「大地」を読んで (その1) 2025.2.22

作家パール・バックはアメリカ人でありながら、中国について非常に詳しい知識を持っています。これまで女性作家をあまり読んできませんでしたが、作家を通して女性の考え方に興味が湧き、最近積極的に読むようにしています。

今年で金婚式(3年前)を迎える妻とは同い年であり、彼女は私を同輩のように扱っています。申し訳ないのですが、結婚当初とは違い、子供たちの母親、私の相棒という感じでした。しかし、定年後、妻と一緒にいる時間が増え、通っている英会話教室も女性が多く、子供の頃のこともあり、女性の考え方や見方に再び興味が湧き始めました。

最近、宮尾登美子や山崎豊子の講演をインターネットで聴く機会があり、強い印象を受けました。宮尾登美子は満州からの引揚者であり、生きるか死ぬかの瀬戸際で、食べ物と幼い娘を交換するかどうかという状況に立たされたと語っていました。実際には何とか生き延び、この時の体験から主婦業の傍ら小説家になったそうです。上品な感じの女性ですが、父親の仕事は置き屋であり、心に秘めたものがあって、ずいぶん昔に作品を読んだことがありますが、女性の生き方を常に問いかけている作家でした。

「大地の子」の作家、山崎豊子は、残留孤児の悲惨な体験や、帰還事業の厚生省の杜撰な対応に激しい憤りを語っていて、すごい迫力でした。

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最近は女性の活躍が目覚ましく、ウクライナ情勢をTVで語る大学教授や、保守の櫻井よしこなどに圧倒されます。

パール・バックの「大地」について、作家は、1892年、伝道師の父親に生後3か月で連れられて18年間中国で暮らし、当時の日本人以上に中国に同化していました。その後も度々中国を訪れており、日本にも来ています。とにかく中国に詳しく、中国人の男性、女性の心理描写に優れていて、東洋的な考え方に精通しています。

三部作で、800ページ以上にも及ぶ大作ですが、面白く読みました。親子三代に渡って男性を主人公にし、貧しい小作から大地主になり、子や孫が地主、商人、軍人、アメリカ留学帰りの役人などとなり、大地を舞台に女性と織りなす東洋的な人間模様を描いています。

第三部の「分裂した家」の最後に、私の気に入った箇所があり、どうやってこの感動を伝えれば良いか思案しているところです。長くなりそうなので、次回に譲ります。

つづく