Jun's Blog

・・・慈しみと寛容・・・


・挑戦的で野心的な女性「ヘッダ・ガブラー」イプセン作 2025.3.22

女性の生き方

「人形の家」で有名な作家イプセンは、19世紀ノルウェー出身で、現代演劇の出発点ともなった数々の戯曲を創造し、世界の演劇史上に大きな足跡を残した作家です。市民悲劇、市民劇をも完成させました。

私が読んだ「ヘッダ・ガブラー」と「人形の家」は、女性の生き方に焦点を当てた作品です。「人形の家」では、夫に従順な妻ではなく、自立した女性として生きることを選択したノラが描かれ、世間からは道徳を破壊する品のない女性だと批判されました。しかし、現代では女性解放運動に大きな影響を与えた作品として評価されており、日本の新劇運動はイプセンから始まったと言われています。

イプセンは、医者を目指しましたが、父親の破産と自身の成績不振により断念しました。繊細な母親の影響を受けて育ち、その後詩や戯曲を本格的に書き始めましたが、混血であるという理由で当初は評価されませんでした。しかし、やがてその才能は開花します。劇場作家の職を得て、友人にも恵まれ、国の奨学金も獲得し、愛する女性と結婚し、息子を授かったことで、演劇作家として優れた作品を生み出すようになりました。生活は苦しかったものの、母親の影響、良い友人、愛する妻と息子との家庭が、素晴らしい戯曲を生み出す原動力となりました。当時世間から反感を買うこともあった女性への挑戦的な思いを戯曲にしたのでした。「ヘッダ・ガブラー」は、彼が思い描く情熱的で野心的な女性を描いた作品です。

イプセンは27年間国を離れ、フランスやドイツなどに移り住みましたが、63歳で帰国し、1906年に78歳で亡くなりました。150年前の江戸時代にイプセンが生きていたことは驚きです。