・・・慈しみと寛容・・・
古代ギリシア文学の最高峰とされるホメーロスの二大叙事詩、『イーリアス』と『オデュッセイア』。これらは西洋文学の源流であり、今なお多くの物語の雛形となっています。
解説
トロイア戦争の末期、わずか数日間の出来事に焦点を当てた、壮大な「死と名誉」の物語です。
〇テーマ: アキレウスの「怒り」。
〇あらすじ: ギリシア軍最強の戦士アキレウスが、総大将アガメムノンとの諍いで戦線離脱。親友パトロクロスの死をきっかけに復帰し、トロイアの英雄ヘクトルを討ち取るまでを描きます。
〇特徴:
・凄惨な戦場描写と、神々が人間のように介入するダイナミックな群像劇。
・敵味方問わず、死にゆく英雄たちの高潔さが描かれる。
・有名な「トロイの木馬」による結末は、実は本作の中では詳しく語られていません。
トロイア戦争が終結した後、知将オデュッセウスが故郷イタケ島へ帰るまでの10年間の漂流記です。
〇テーマ: 「帰還」と忍耐。
〇あらすじ: 怪物ポリュペモスや魔女キルケ、歌声で船を惑わすセイレンなどの困難を乗り越え、20年ぶりに再会する妻ペネロペイアのもとへ帰る物語。
〇特徴:
・現代の冒険小説やロードムービー(主人公が車や列車などで旅をする過程(道中)で起こる出来事や人との交流を描き、その経験を通じて内面的な成長や自己発見、変貌を遂げる様子を描いた映画のジャンルです。目的地へ向かう道中そのものがストーリーの核となり、景色や人間関係が移り変わる特徴を持ちます)の原型。

・知略を尽くして生き延びる主人公の姿が、武勇中心の『イーリアス』とは対照的。
・叙述の構造が凝っており、回想シーンを多用した複雑な構成になっています。
3.両者の主な違い
| イーリアス | オデュッセイア |
| トロイアの戦場(定点) | 地中海各地(移動) |
| アキレウス(剛勇) | オデュッセウス(智謀) |
| 悲劇的・直線的 | 冒険的・多層的 |
| 戦場での栄光(クレオス) | 家族や故郷への愛(ノストス) |
注記
ホメーロス問題(ちょっとした豆知識)
実は、ホメーロスが「誰なのか」については、古くから論争があります。実在の一人の天才説吟遊詩人たちが語り継いだ集合知説現在では、もともと口承(口伝え)で伝わっていた物語を、紀元前8世紀頃にある人物(ホメーロス)が高度な詩の形にまとめ上げたというのが有力な説です。この二つの物語には、アキレウス、ヘクトル、ペネロペイアなど魅力的なキャラクターがたくさん登場します。
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