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なぜ、日本人は英語を聞き取れないのか?
(PHP オンライン衆知 2020 年 11月22日12 時 00 分 特設新型コロナウイルス関連情報)
発音のギャップと表現の違いが、ネイティブの英語を聞き取る鍵になる!
英語の読み書きはできても、相手の言っていることが理解できずコミュニケーションがと
れないと悩んでいる人も多い。なぜ日本人は英語の聞き取りが苦手なのか、その理由ととも
に、聞き取れるようになるコツを言語学博士で音楽博士でもある藤澤慶已氏にうかがった。
≪『THE21』2019 年 2 月号≫
≪取材・構成:林 加愛≫
「レモネード」よりも「ラムネ」が英語らしい!?
多くの日本人が苦手とする「聞き取り」。この壁を克服するには何が必要でしょうか。よ
くある解決策は「浴びるほど英語を聴いて慣れること」でしょう。
それは決して間違ってはいません。しかし「何に」慣れればよいのでしょう。そのポイン
トがわからないままひたすら聴くだけでは苦痛です。そこでまずは日本語と英語のギャッ
プ──聞き取りづらさの原因を知りましょう。
その原因は二つあります。一つは、音声の問題です。
英語と日本語の音声を比べたときの最も顕著な違いは、母音と子音の比率です。日本語は
母音と子音が6:4の比率で発されます。対してイギリス英語は2:8、アメリカ英語は3:
7。日本語は母音、英語は子音の比率が高いのです。
試しに「Ma」と⾧く発音してみてください。「マァー」と母音(ア)を伸ばしたくなるで
しょう。対して英語圏の人は、「ンームァ」と子音の M の部分を強調します。
また、私たちは「lemonade」を「レモネード」と読みますが、明治期の日本人はこの音を
「ラムネ」と認識し、それをモデルに清涼飲料水のラムネを作りました。その後、文字表記
を日本語風に読んだ「レモネード」が別途定着しましたが、実は「ラムネ」のほうが本来の
音に近いのです。母音を強調的に読む日本語のクセが、こうしたギャップを生むのです。
このギャップを埋めるには、発音を改善するのが近道。ネイティブの発音を真似て、子音