
2 / 4
■ 1 .英文の流れを生かす
「英文の流れを生かす」とは、書き手の意識の流れを尊重して訳すということにほかなり
ません。例えば次の英文を見てみましよう。
I was about to leave home when I saw her standing near the car.
この英文には、 大きく分けて次の 2 通りの訳し方があります。 「私は家を出るとき、 彼
女がその車のそばに立っているのを見かけた」と文頭から訳す方法と、 when ~以下の文
の後を先に訳して「私がその車のそばにつている彼女を見かけたとき、私は家を出るところ
だった」にする方法です。この 2 つの訳は、文意こそ同じであるものの、後者は書き手の意
識の流れが反映されていない訳になっています。 つまり、 書き手の意識は「家を出ようと
した、そうしたら彼女を見かけた」のように流れているのですが、訳文ではそうなっていな
いのです。
一般に、前者のように文頭から順に訳していく方法を「訳し下ろし」、後者のように後ろ
から訳していく方法を「訳し上げ」と呼んでいます。書き手の意識の流れを尊重し、それを
再現するためには「訳し下ろし」が有効です。特に、複雑な⾧文になればなるほど「訳し下
ろし」の必要性が出てきます。連続して起こる一連の動作や因果関係の説明などで、どうし
ても語順通りに訳していかないと誤解が生じてしまう場合もあります。
もちろん、英語と日本語の文の構造の違いから、時には「訳し上げ」した方が良い(そう
せざるを得ない)場合もありますが、この講座では、主に「訳し下ろし」に着目してみまし
よう。
■2 .英文の形にこだわらない
英文の構造と意味の正しい理解が不可欠であることは先に述べましたが、英語の構文に
必要以上にとらわれるあまり、不自然な日本語になってしまったのでは意味がありません。
英語と日本語では文の構造が大きく異なるのですから、その点は柔軟に考えて訳すように
しましよう。
例えば、英文での主語が必ずしも日本語訳の主語になるとは限りませんし、英文では名詞
であっても日本語では動詞的に訳した方が良い場合があるのです。また、受動態の英文だか
らとい。て日本語でも同じように「受け身」で訳すとは限らないのです。詳しくはテキスト
で学習します。
さて、「翻訳の大原則」はご理解いただけましたか。後はテキストで様々な英文に触れな
がら、「翻訳ポイント 24」で具体的に学習していきましよう。翻訳は、自分以外の誰か〇〇
本の読者や、仕事の発注者( =クライアント)など〇〇 に読んでもらうことを目的としてい
ます。ですから今後は英文の正しい理解を前提として、ご自分の訳が自然でわかりやすい日
本語になっているかを常に意識するようにして下さい。